アメリカ・ロードアイランド州の老人ホームで暮らしていた猫のオスカー。2005年にアニマルシェルターで生まれ、子猫の頃にこの施設に引き取られました。施設には末期の認知症やパーキンソン病の患者が多く入居していて、オスカーはそんな入居者たちの日々を静かに見守る存在でした。茶色と白の毛並みが特徴で、他の5匹の猫たちと共にのびのびと暮らしていたといいます。
※オスカーの経歴や活躍については、ウィキペディアのページでも紹介されています。
患者に寄り添うセラピーキャット
オスカーは、老人ホーム内でセラピーキャットとしての重要な役割を果たしていました。セラピーキャットとは「人間に癒しや安心感を与えるために飼育・訓練される猫」のことで、オスカーは特に患者のそばに寄り添い、その存在自体が心の落ち着きとなる存在でした。施設内では利用者や家族、スタッフからも愛され、多くの人に精神的な支えを提供していたのです。

死期を予知する能力
2007年、オスカーの特別な能力が注目されるようになります。ブラウン大学のデイヴィッド・ドーサ博士が「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」に発表した論文の中で「オスカーには患者の死期を予測する不思議な能力がある」と紹介しました。死期が近い患者のベッドのそばに寄り添い、丸くなって静かに佇むという行動をとることが観察されていたのです。この行動は、施設での日常生活を通して徐々に発見されたもので世界中で話題となりました。
予知のメカニズムは解明されているのか?
オスカーの「死期を予知する」行動について、科学的にいくつかの仮説が考えられています。猫は人間よりもはるかに優れた嗅覚を持ってるので、細胞が死ぬ際に放出される「ケトン」という化学物質を敏感に嗅ぎ取っているというものが理由として有力視されています。このわずかなサインを敏感に感じ取り、患者のそばに寄り添う行動につながったのかもしれません。
患者に寄り添う
あるケースでは、血流の異常や足の冷えがあった女性のそばでオスカーは丸くなりながら彼女の足を覆うようにして寄り添い亡くなるまでその場を離れなかったそうです。オスカーは施設内を巡回し、入居者の匂いを敏感に嗅ぎ分けながら特定の入居者のそばで丸くなることが繰り返されました。きっと偶然ではなく、入居者の体調や死期を感じ取っていたのではないでしょうか。
オスカーの能力が知られるようになる一方で、全ての入居者の部屋に自由に入れるわけではありませんでした。ある時、死期が近いお年寄りのそばに佇んでいたオスカーでしたが、家族の意向で部屋から出されてしまうことがありました。この出来事は、オスカーの直感的な行動が必ずしも人間の判断や運営方針と一致しないことを示しています。それでもオスカーは施設内を巡回し続け、他の入居者のそばで寄り添うことで、彼の存在意義が再確認される瞬間も多くあったといいます。

オスカーに関する書籍
オスカーの不思議な能力や老人ホームでの暮らしについて詳しく知りたい方には、書籍もあります。この本では、オスカーがどのようにして患者の死期を察知し、家族やスタッフに寄り添ったかの詳細な記録が紹介されています。オスカーの能力を理解するうえで非常に参考になる一冊です。



